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【ダディはシド大陸を流離うようです】

1608 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:12:47 ID:3kpqt9w00 [1/11]
【ダディはシド大陸を流離うようです】

今回は傷物キル夫さんの設定をお借りしました。

細かい描写は投げ捨てるモノ。

1609 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:12:59 ID:3kpqt9w00 [2/11]
「…なぁ、残っちゃくんねーのかい?センセイ」

男は対面にいる初老の男を見ずにジッと先程火を付けたばかりの煙草に目を落とす。

「キル夫さん。」

「僕の仕事はまだ、終わってないんですよ」

そう答えると、”先生”は窓際に向かい、よっこいしょっと立ち上がると眼前の風景を見遣る。

1610 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:13:55 ID:3kpqt9w00 [3/11]
「いい所だ。本当に、いい。」

青々と茂る森に連なる名峰。
多様な気候に多様な生態系。
豊富な水源からは時に温泉すら湧き出でる。

そして、その山の向こうには。

「オッさん、死んだんだってな。」

ぽつり、とキル夫と呼ばれた男が洩らす。

1611 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:14:30 ID:3kpqt9w00 [4/11]
「強行軍に次ぐ強行軍、峻険たるヒダカの山、そしてエゾチの寒冷な気候。

…情熱にカラダがついていけなくなっちゃったんですよ。」

「らしいっちゃ、らしいよなぁ。」

目に浮かぶのは髭もじゃの巨漢。イカツくデカいあの顔で莞爾と破顔されると、なんとなくストンと落ちる、あの笑顔。

「止まれなかったんでしょうねぇ。
実際止まんなかったし。」


1612 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:15:02 ID:3kpqt9w00 [5/11]
いや、もう大変でしたよ。
イイ年こいたオッさんがね?こう、もうお前ダンスィかよってカンジで、目キラッキラさせてね?

うわー、めっちゃ目に浮かぶわー。

あははははははは。

二人同時に笑いだす。

そうそう、そうじゃなきゃ、らしくねぇよな。またお前かよ!今度なにヤラかしたんダヨっ!ってね。

…でも楽しかったんだろ?ああ、楽しかった。

「だから、帰ってきたんです。」

「見たもの、聞いたもの、知ったもの、全部。僕らだけのモノにしたら勿体無いって。」

「誰かに伝えなきゃってね。」


1613 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:16:12 ID:3kpqt9w00 [6/11]
ふうぅ~う。

ひとしきり笑い転げ、一息ついた後。

おもむろに。

「ココでも、アソコでも、そしてこっから行く先のコトも、全部かい?」

「勿論。」

そうか、それが、先生の仕事なんだな。

1614 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:17:34 ID:3kpqt9w00 [7/11]
キル夫はそのイカツイ顔を綻ばせた。
いつだかのあの髭もじゃらのような笑顔で。

「気が向いたらまた、時々オレんチに寄ってくれや。」

「キル夫さんも。しかしなんだか似てきましたね、彼に。」

「そうかい?」

「ええ。」

もう一度男たちは笑う。ここにはもう居ない、あの男のような笑顔で。


1615 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:18:25 ID:3kpqt9w00 [8/11]
「先生。オレのコトも、オレ達のコトも、全部、誰かに教えてやってくれや。

ここにもこんな奴がいるぞってな。」

「勿論。」

再びそう答えると、初老の男は振り向きもせずにドアに向かいそのまま外へ出る。

ひとりになったキル夫はひとり呟く。

「誰かに誰かの事を伝える、知って貰う。
なるほどなぁ。」
「そんな単純な事がこんなに楽しい、嬉しい、なんて思ってもみなかったな。」

笑顔のまま、滂沱と流れる涙を止める事が出来ず、尚笑う。そして、ふと、気づく。

1616 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:18:57 ID:3kpqt9w00 [9/11]


「…先生の事は誰が伝えて、知って貰うんだろうな?」




1617 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:20:34 ID:3kpqt9w00 [10/11]
東北最大最強の冒険者一統を率い、センダイより出でて失われた都市グンマーを再興させつつある無冠の王、キル夫。

そして、かの第四次北部開拓団に参陣し、八年の長きに渡る旅を終え、今また新たな旅へと歩を止めぬ初老の男。

ダディ・クール。

此れは彼の果てなき長い長い旅路の物語。

1618 名前: ◆FazD.JhxkU [sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:20:58 ID:3kpqt9w00 [11/11]
いじょー。御精読ありあとやんしたー。

1619 名前:読者の名無しさん[sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:23:39 ID:nGiTPaPJ0 [1/4]
乙っした
征服王、最後まで征服王のままだったか

1620 名前:読者の名無しさん[sage] 投稿日:2015/09/22(火) 21:39:26 ID:L0oqjjCx0 [1/4]
乙様ー
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